ebook img

Spider Fauna Occurring in Paddy Fields in Ishikawa Prefecture. Part 2. On the Wolf Spider (Lycosidae) Community. PDF

7 Pages·1991·0.54 MB·English
Save to my drive
Quick download
Download
Most books are stored in the elastic cloud where traffic is expensive. For this reason, we have a limit on daily download.

Preview Spider Fauna Occurring in Paddy Fields in Ishikawa Prefecture. Part 2. On the Wolf Spider (Lycosidae) Community.

ACTA ARACHNOL., 40: 61-67, December 25, 1991 石川県 にお ける水 田の クモ相(第2報) コモ リグモ群集 について 富樫一・次1)・高順一・郎1) Ichiji TOGASHI" and Jun-ichiro TAKA" : Spider Fauna Occurring in Paddy Fields in Ishikawa Prefecture (Part 2 ) On the Wolf Spider (Lycosidae) Community Abstract: Eleven species of wolf spiders were captured in paddy fields in Ishikawa Prefecture, 1987. Among them, Arctosa subamylacea, Pardosa laura, Pirata piratoides, and Pi. subpiraticus were most numerous. In order to know the seasonal fluctuation of each species for each district, Seasonal Distribution Index (SD-index) proposed by MORISHITA (1967) was calculated by using the data which were obtained from the paddy fields. According to MORISHITA, a low SD-index value indicates that the period appearing in the field becomes short. From the results of calculation of SD-index value in Ishikawa Prefecture, it was presumed that Pirata subpiraticus, Pi. piratoides, Pardosa laura, Pa. astrigera, and Arctosa subamylacea appeared for long period in the field. To list up the dominant species in the wolf spider community in Ishikawa Prefecture, Prosperity Index (P-index) proposed by MORISHITA (1967) was calculated by using species which were represented high SD-index values. It was considered that the dominant species of the wolf spider community occurring was Pirata subpiraticus, except in the field of Komatsu district, in which the dominant species were both Pirata subpiraticus and Pi, piratoides. From the data reported by several workers, e.g. HAMAMURA (1969), KAWARA et al. (1969), KOBAYASHI (1961), KOBAYASHI and SHIBATA (1973), OHKUMA (1977), YAMANO (1977), it was considered that the dominant species of wolf spider community occurring in paddy fields in southern part of Japan is Pardosa pseudoannulata, while in northern part of Japan is Pirata subpiraticus. 緒 言 富樫 ・高(1988)は 石川県内各地の水田のクモ相及び水田の環境条件のちがい,ま たは水稲 の生育状況のちがいとの関連においてクモ類の季節的な発生消長や,平 野部と山間部の水田に おけるクモ相の差異にっいて報告した。本報では乾田と湿田に生息するクモ類,特 に害虫の天 敵類となる多食性の種を多く含んでいるコモリグモ類の種類相と生息状況について調査したの でその結果にっいて報告する。 1)石 川県農業短 期大学IshikawaAgriculturalCollege,1-308,Suematsu,Nonoichi-machi, IshikawaPrefecture,921Japan 一61一 富樫一次 ・高 順一郎 調査地区と方法 調査は金沢市才田町(河 北潟湖畔の湿田地帯)と 小松市木場町(木 場潟湖畔の湿田地帯)の 水田と,金 沢平野のほぼ中央に位置する石川郡野々市町中林(手 取川扇状地)及 び石川郡鶴来 町曽谷にある乾田(倉 ケ岳の中腹に位置する)の 計4地 区で,1987年4月 より10月まで実施さ れた(Fig.1)。 その間,各 調査地区では毎月1回,可 能な限り晴天の日に調査するように心 掛けたが,7月 は天候の都合により小松市木場町での調査だけであり,他 の3地 区では調査は できなかった。また,9月 上旬には小松市木場町の調査田のイネが刈り取られていたため,こ の地区での10月の調査も実施できなかった。 調査に際しては各地区毎に調査田を任意に選定し,こ れらの調査田において水田内と畦畔に ついてそれぞれ30分間歩いて,そ こに見出されるコモリグモ類をすべて採集するように努めた。 採集したクモ類はすべて70%ア ルコール液を入れた管瓶中に投入して研究室に持ち帰り,双 眼 実体顕微鏡の下で同定し各種類ごとの個体数を算定した。 Fig. 1 Map showing the census areas in Ishikawa Prefecture (1, Kiba-machi, Komatsu City ; 2, Sodani, Tsurugi-machi ; 3, Nakabayashi, Nonoichi-machi ; 4, Saida-machi, Kanazawa City). Fig. 2 Distribution of the dominant species of the wolf spiders in the census areas shown in Fig. 1. - 62 - 石川県の水田のクモ相(2) 結果と考察 1.種 類構成 第1表 は調査 した4地 区で採集 されたコモ リグモi類を示 したものである。 これ らの うち,4 地区すべてで採集された種類はクロココモ リグモ,ハ リゲコモ リグモ,イ モコモリグモ,及 び キバラコモ リグモの4種 であった。 また,乾 田と湿田のクモ相を比較すると,乾 田(野 ケ市町と鶴来町)で は4属9種,湿 田 (金沢市 と小松市)で は3属9種 とほぼ同様な種類構成であったが,湿 田ではキタコモ リグモ 属7τrochOSα に属するカラフ トコモリグモとアライ トコモリグモは採集されておらず,乾 田で はエビチャコモ リグモとハテコモリグモの2種 は採集 されなかった。 これ ら4種 のうち,エ ビ チャコモ リグモ,カ ラフ トコモリグモ,及 びアライ トコモ リグモの3種 はいずれも1個 体ずっ しか採集 されてお らず,こ れ らは必ず しも水田に生息 しているとは言いがたい。 しかし,ハ テ コモ リグモは北海道の湿地帯で採集 されていることか ら(TANAKA,1974),本 種は水田に生 息 している可能性がある。 また,ウ ヅキコモリグモは4地 区のうち鶴来町曽谷で採集されていない。これは同地区では ハ リゲコモ リグモが非常に多いことと関係があるように推察されたが,上 記2種 間の因果関係 については明らかにはできなかった。 2.コ モリグモ群集の季節的分布と群集構造 各調査地点で30分間に採集されたコモリグモ類を1っ の群集としてとらえ,こ れらの群集を 構成しているクモ類について,そ れぞれの種が季節的にどのような偏りをもっているのかを知 Table 1 List of wolf spiders occurring in the paddy fie lds in Ishikawa Prefecture, 1987. - 63 - 富樫一次 ・高 順一郎 るため,便 宜的に森下(1967)の 提唱 した季節分布指数(SeasonalDistributionIndex:SD- index=1/1δ)を 用いて計算 した。その結果を第2表 に示 した。これに基づけば,乾 田では キバラコモ リグモ,ウ ヅキコモリグモ,及 びハ リゲコモリグモのSD-indexの 値が高 く,湿 田 ではイモコモ リグモ,ハ リゲコモリグモ,ウ ヅキコモ リグモ,キ バラコモリグモ,及 びクロコ コモ リグモの値が高かったことから,こ れらの種類 はどの季節でも見出す ことがで きることを 示 しているものと考え られる。 しかし,季 節的分布指数の値の高い種であっても,そ れがその地域の優占種となりうるかど うかを知 るための目安として,便 宜的に森下(1967)の 提唱した繁栄指数(ProsperityIndex: P-index=N/1δ ×1/100)を 用いて計算 した結果を第2表 に示 した。 この結果に基づけば SD-indexの 値の高かった湿田のハ リゲコモ リグモとウヅキコモ リグモなどのP-indexの 値は 小 さく,こ れ らは優占種とはいえないように思われた。 しか し,乾 田におけるキバ ラコモ リグ モ,ウ ヅキコモリグモ,ま たはハ リゲコモ リグモ,湿 田におけるキバ ラコモリグモ,ク ロココ モ リグモ,ま たはイモコモリグモなどは一応優占種と考えてよいであろう。ただし,こ の計算 に際してウヅキコモリグモとハ リゲコモ リグモについては,幼 体時の識別が困難なため,各 調 査地点毎 に成体の数の比率に従 って,幼 体の総数を按分 して用いた。また,ク ラークコモ リグ モ,チ ビコモ リグモ,お よびハテコモ リグモにっいても幼体時の同定が困難なことに加え,採 集個体数 も少なかったため,こ れらは纒めてカイゾクコモリグモ属の1種(Pか αεαsp.)と し て取扱 った。 以上の結果に基づけば,調 査 した4地 区ではいずれもキバラコモ リグモが優占種と見なされ, 乾田地帯の石川郡野ケ市町ではキバラコモ リグモーウヅキコモリグモ群集,同 じく鶴来町では キバラコモ リグモーハ リゲコモリグモ群集,湿 田地帯の金沢市才田町ではキバ ラコモ リグモー クロココモ リグモ群集,小 松市木場町ではキバラコモリグモーイモコモリグモ群集 と考えられ た。また,畦 畔について見ると石川郡野々市町ではハ リゲコモリグモークロココモリグモ群集, 鶴来町ではハ リゲコモ リグモーキバラコモ リグモ群集,湿 田地帯の1っ,金 沢才田町ではキバ ラコモリグモークロココモ リグモ群集,小 松市木場町ではイモコモリグモーキバラコモ リグモ 群集となった。 したがって,石 川県における水田のコモリグモ群集はキバ ラコモ リグモ群集 と いってよいであろう。 しかし,県 南部の小松市では水田のコモリグモ群集はキバラコモリグモー イモコモリグモ群集,畦 畔の群集はイモコモ リグモーキバラコモリグモ群集 となっており,こ の地点ではイモコモリグモがコモ リグモ群集の中の重要な構成種となっていることをうかがわ せた。 3.日 本各地の水田のコモリグモ群集における優占種について これまで日本各地において調査された水田のクモ相に関する報告(浜 村,1969,常 楽,1976, 川原 ら,1969,小 林,1961,小 林 ・柴田,1973,大 熊,1977,山 野,1977,山 野 ・木戸,1975) に基づけば,南 関東(神 奈川県)か ら西南 日本にかけてはキクヅキコモ リグモが,一 方北陸 (富山県)か ら北関東(栃 木県)・ 東北にかけてはキバラコモリグモが優占種と推定された。 し か し,京 都府ではイモコモリグモが優占種のように推定された。 これ らの結果は,田 中(1989)が 述べた結果 と一致 している。 しか し,京 都府ではイモコモ リグモが優占種と推定されており(山 野,1977),こ の場合キクヅキコモ リグモが優 占してい 一64一 石川県の水田のクモ相② Table 2 SD-and P-index values of wolf spiders occurring in each census area in Ishikawa Prefecture, 1987. No. individual number ; SD-index : Seasonal Distribution Index ; P-index : Prosperity Index. ると推定されるコモリグモ群集ががどの辺りまで広がり,ど こでイモコモリグモを優占種とす るコモリグモ群集に移行しているかにっいては不明である。一方,石 川県の場合は県南部でイ モコモリグモのP-indexの 値が他の3地 区に比べて高く,コ モリグモ群集の代表的な種ともなっ ているため,少 なくとも石川県南部から福井県北部の間がイモコモリグモを優占種とするコモ リグモ群集からキバラコモリグモを優占種とするコモリグモ群集への移行地帯と考えることが できよう(Fig.2,3)。 - 65 - 富樫一次 ・高 順一郎 Fig, 3 Distribution of the dominant species of the wolf spiders in various districts in Japan, ま と め 石川県の水田で見出されたコモリグモ類は4属11種 で,そ のうち,キ バ ラコモ リグモ,ハ リ ゲコモ リグモ,ク ロココモ リグモ,及 びイモコモ リグモの4種 が普通種のように推察 された。 しかし,イ モコモ リグモは県南部に多いといえよう。 石川県の水田におけるコモリグモ群集はキバ ラコモ リグモ群集 といってよいであろう。 しか し,県 南部ではキバラコモ リグモーイモコモ リグモ群集 としてよいであろう。 わが国の水田におけるコモ リグモ群集は東北地方ではキバラコモ リグモ群集,西 南地方では キクヅキコモ リグモ群集と推定され,近 畿地方は両者の移行地帯のように推察 された。 謝 辞 本文を終えるにあたり,ク モ類の種の同定をしていただき,か っ分布などに関して御教示を いただいた園田学園女子短期大学め田中穂積博士,な らびに本稿を閲読していただき種々御教 示を賜った信州大学農学部の森本尚武教授:に対し深く感謝の意を表する。 - 66 - 石川県の水田のクモ相(2) 文 献 浜村徹三,1969.水 田におけるクモ類個体群の季節的変動.Ac如 、4rαcんηoZ.,22:40-50. 常楽武男,1976.ウ ンカ ・ヨコバイ類の捕食性天敵調査.昭 和49年 度富山県農業試験場病害虫試験成績. 80-86. 川原幸夫 ・桐谷圭治 ・笹波隆文 ・中筋房夫 ・大熊千代子,1969.水 田におけるクモの種類相と個体数の季 節的消長,特 にツマグロヨコバイの発生消長と関連 して.四 国植物防疫研究,4:33-44. 小林四郎 ・柴田広秋,1973.水 田とその周辺におけるクモ類の個体群変動,害 虫の生態的防除と関連 して. 応動昆,17:193-202. 小林 尚,1961.ニ カメイチュク防除の殺虫剤散布がウンカ ・ヨコバイ類:の生息密度に及ぼす影響 に関す る研究.病 害虫発生予i察特別報告,6:1-126. 森下正明,1967.京 都附近における蝶の季節分布.自 然一生態学研究.95-132.中 央公論社.東 京. 大熊千代子,1977.福 岡市津屋の水田地帯に生息するクモ類の発生消長に関する研究 九大農学芸誌,31: 133-144. TANAKA,H.1974.JapanesewolfspidersofthePirata,withdescriptionsoffivenewspecies (Araneae:Lycosidae).ActaArachnol.,24:22-45. 田中幸一,1989.農 耕地におけるクモ類の働き.植 物防疫,43:34-39. 富樫一次 ・高順一郎,1988.石 川県における水田のクモ相.Ac`αArαcん ηoZ.,36:121-131. 山野忠清,1977.京 都市の水田に生息するクモ類個体群の季節的変動.Ac雄Arαcん ηoZ.,27(Special number):253-260. 山野忠清 ・木戸敬二,1975.厚 木市の水田におけるクモ類とその季節的変動.A6ン:ρ αs,64:27-34. - 67 -

See more

The list of books you might like

Most books are stored in the elastic cloud where traffic is expensive. For this reason, we have a limit on daily download.