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Miller N. G. (ed.): Advances in Bryology Vol. 4. Bryophyte Systematics. PDF

1 Pages·1993·0.09 MB·English
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June 1993 Joumal of Japanese Botany Vol. 68 No. 3 191 版では元のページはそのままに残し,改訂増補分 るべきであると釘をさしている. 56ページを巻末に追加している(索引には追加 「コケの分類学と個体群生物学への酵素電気泳 分も組込まれた). 追加された内容は, 学名の変 動法の適用Jの総説では, コケの種はしばしば遺 更,種類の追加,異名・雑種などに関する意見, 伝的に多型であり,表現型ではほとんど区別がで 記載の補充,分布の追加など,合計500余件に きない個体群の聞にも,遺伝的には大きな分化が 上っている.その中の新名(新組合わせおよび新 起こっているケースが多いことを示している.例 位置)60個は別に取出して有効に記載されてい えば,ジャゴケは北半球の温帯地域に広く分布し, る.更に新図(基準標本の写真など 60点)15 通常,ユニフォームな種と見なされているが,電 ページと,科・属一覧表4ページが含まれている. 気泳動法によるアイソザイム解析によれば,遺伝 このように本書はますます内容が充実してきた. 的に大きく分化した同胞種(隠蔽種)からなるこ シダの分類には欠かせない文献の一つである. とが分かった.それらの同胞種は地理的にまと (伊藤洋) まっており, ヨーロッパに 1種,北米に 1種, ヨーロッパと北米に分布する 1種,日本に 1種の, 口Mi11erN. G. (ed.) :A dvances in Bryology Vol. 計4種からなり,それらの間の遺伝的距離は,あ 4. Bryophyte Systematics. vii +264 pp. 1991. J. る場合には,維管束植物の属聞に普通に見られる Cramer,Be rlin. 程度の大きさであるという.その他,倍数性の由 コケの分野でも,種子植物の後を追って,新し 来(同質倍数性か異質倍数性か), 雌雄同株のコ い手法が導入され,その手法による分類や系統に ケにおける同一個体間での受精の頻度,繁殖シス 関する論文が続々と出ている.本書はコケの分類 テムの解析など,従来の研究手段では解明しがた 学関係の 8編の総説が収録され,新しい手法によ い問題のヴェールが次々と剥がされている. る最近の成果が紹介されている. 「“緑藻"と“コケ植物"との聞の系統的なつな その 8編のタイトルは, コケの分類学と個体群 がり」の総説は,緑藻植物と陸上植物との系統関 生物学への酵素電気泳動法の適用;生態遺伝学, 係を分岐分類学の手法で論じたものであり,陸上 進化拘束とコケの分類学;ゼ、ニゴケ類の二次化学 植物が単系統群であり,コレオケーテないしシヤ (二次代謝産物);実験室および温室での培養とコ ジクモに近い緑藻から由来したと結論づけている. ケの実験分類学;薄類の系統解析における個体発 この総説は,緑藻とコケとの系統関係というより 生のデータの利用;肢果性蘇類の科の分類の基 も,むしろ緑藻内の分類群閣の系統を中心に扱っ 礎;コケの研究,特に分類学におけるデータの電 ている.そして,コケもシダも種子植物もつっこ 子処理;“緑藻" と “コケ植物" との聞の系統的 みで,有腔植物(陸上植物)として一括されてお なつながり, である. DNA塩基配列の解析によ り, コケの研究者が知りたい, コケとシダとの系 る分子系統学的研究は最近の分類学におけるト 統関係や, コケの高次の分類群間の系統関係に触 ピックスの一つであり, コケでもすでにいくつか れていないことが不満である.それらの分岐分類 の論文が出ているが,本書にその関係の研究のレ 学研究はすでにいくつか発表されているので,本 ヴューは載っていない.どうやら,新しい方法論 書のタイトルに忠実であるためにも,まず, コケ の普及はコケの分野では種子植物に比べてかなり を中心とした研究を紹介すべきであった. 遅れているようである. (北)1尚史) 1 本書の「エピローグ」で,長年,記載分類に携 わってきた蘇類分類学の大家のH.クラムは,最 口Yamagishi T.: Plankton AIgae in Taiwan 近,分類学に導入されたこれらの手法を評価し, (Formosa) (山岸高旺: 台湾産浮遊性藻類) 252 コケの分類学でも新しい研究を大いに推進すべき pp. 1992. Uchida Rokakuho,T okyo (内田老鶴圃, であると述べている. しかし,同時に,その研究 東京)¥12,360. は植物をよく知っている分類学者によって行われ 台湾のフローラは,高等'植物や海藻については,

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